足場の組立作業時の安全点検は義務?法改正を詳しくご紹介

建物を造る際には、足場を作ることが多いのですが
足場の組立作業は危険になることも多くなります。

足場の組立作業を行う際には、作業者の安全を守ることが大切です。

注文者は作業者の安全を守ることを徹底しなければなりません。
どうしたら作業者の安全が守れるのかを足場作業の注文者も、点検する必要性があると法改正されています。

法改正によってどのように安全点検が義務となっているのかについて、詳しくご紹介します。

 

足場の組立作業の危険とは?安全点検必要な理由

まず、足場の組立作業ではどんな点が危険なのかについてご紹介します。

足場の作業では転落、落下が最も心配されるでしょう。
高所からの墜落・転落は、建設業界の死亡事故の最も多い原因となっています。

足場の作業板の幅や作業者への安全帯の付け方などやまた、雨の際の作業などは
中止にするなどの安全点検をしっかり行って作業を行うことが必要です。

例えば、作業板に置いてある番線やひもなどにつまずいて落ちかけるなどということもあります。
高い場所での作業がゆえに少しのことでも大きな事故に繋がります。

足場の作業では、安全点検をしなければならない点がたくさんあると言えるでしょう。

足場の作業板に足がひっかかるようなものが置かれていないか
もしも転倒しても幅木や下さん手すり、手すり枠などを設置してあるのか
(交差筋交いの下部の隙間からの落下防止対策が取られているのか、メッシュシートだけでは安全性が低い)
作業員が安全帯を付けるようにきちんと徹底しているかどうかなどを点検する必要があるでしょう。

 

足場の墜落防止のための安全点検の法改正の流れ

こうした足場での転落事故などが多いために、
2007年(平成19年)に「足場からの墜落防止措置に関する調査研究会」が設置され、
2009年(平成21年)に「労働安全衛生規則」が改正されました。

そして2015年(平成27年)にはその規則の一部が改正され、
次の5項目が安全のための義務として追加されています。

 

1.足場の作業員は「安全衛生特別教育規定」に基づいた特別教育を受講の義務

ただし、訓練や講習を受け、技能検定に合格している、
指導員免許を持っている作業員は受講が省略可能です。

 

2.足場からの墜落を防ぐ措置の義務

足場の組立時には幅40cm以上の作業床を設置、安全帯を付ける設備を設置し、
作業員の安全帯を使用。また、悪天候の場合の作業中止なども必要です。

 

3.足場を組立てた後の注文者も点検

そして、足場や作業構台の組立・一部解体・変更を行った場合、
その後に事業者だけでなく、元請けの注文者も足場を点検・修理することが定められています。
注文者が点検を行った後に、作業を行うようにしなければなりません。

 

4.足場の作業床から墜落を防止する措置

また、作業板の床板と建地の隙間から墜落しないように
間を12cm未満にするように決められています。
もし、墜落防止設備を取り外したらすぐ元に戻し、
取り外したままでは立ち入り禁止と定める必要があります。

 

5.単管足場に関する規定が見直し

さらに、単管足場は鉄パイプの単管だけで作った簡単な足場のため、
31mを超える高さの場合には単管を2本組にすることも改正されています。

このような細かな足場の安全のための改正が行われています。

 

「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」も改正に

また、同じ2015年(平成27年)に
「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」も改正されています。

足場の組立図を作成すること、作業主任者の能力アップ、より安全な措置を行うこと、
当事者以外の第三者で足場を点検すること、作業者の安全衛生意識を上げることなどが示されています。

 

足場の組立における注文者の点検義務について

ここであらためて、足場の組立で注文者が作業の安全のために
責任を持って点検すべき義務についてご紹介します。

2009年(平成21年)で「労働安全衛生規則」が一部強化され、
「その日の作業を開始する前に足場の墜落防止設備を点検し、異常を認めたときは直ちに補修すること」
を注文者が義務として行わなければいけないことになっています。

 

そして、これまでの足場の組立て・一部解体・変更の後の点検義務
(この点検義務は足場全般の網羅的な点検義務)に加えて、
その内容を記録し、保存することが事業者に義務化されています。

悪天候後の点検については事業者や注文者にも記録と保存がこの時点で義務となっています。

そしてさらに、2015年(平成27年)の「労働安全衛生規則」の改正では、
足場の組立・一部解体・変更をした場合の点検の記録と保存も
事業者だけでなく、注文者が行うことが義務付けられています。

つまり、どんな変更の場合でも、点検を行い記録保存することが注文者にも義務づけられています。
いつも注文者は足場の安全状況を確認する必要があると義務が強化されています。

そして、足場の点検をするのは誰かというと、労働安全衛生法に定められた作業主任者の
「足場の組立て等作業主任者」などで、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者などです。

十分な知識や経験を持つ人が安全を点検する必要があります。
点検も専門家が行うことで、厳しい点検が行われるものとなっていまます。

 

足場の組立作業の点検は事業者だけでなく注文者にも義務化

ここまで、足場の組立作業の点検について見てきました。
足場の組立時の作業では、事故が起これば死亡事故にも繋がることが多く、安全のための点検が重要です。

そのために「労働安全衛生規則」があり
事故防止のためにより厳しい内容へと改正が行われています。

事業者だけでなく、注文者も安全のための点検状況を把握し
点検内容の記録と保存をしておくことが義務となっています。

怠ると罰金が生じますので、気を付けることも大切です。
そして、点検だけでなく、作業員自身にもより安全な作業ができるよう
安全に対する意識を高めていくことも必要です。

作業員一人一人にも、安全への意識を浸透させることもとても大切なことと言えるでしょう。