中高層建築や大規模な建物で主に使われる門型の形をした枠組足場。
強度が高く種類も豊富で、建物に合った足場を仮設することが可能です。
そこで、枠組足場の特徴やメリット、デメリットなどをご紹介します。
【枠組(門型)足場とは】
枠組（門型）足場とは鋼材を門型に溶接した建枠に筋交、
ジャッキベース、鋼製布板などを組み合わせて組立てる仮設足場のことです。
1952年に登場し、現在最も一般的に使用されています。
これまで主流だった単管足場とは異なり、
組立ての際に足場の高さや幅をその都度測る必要がなく、
人の手の届く範囲で組立と解体ができる部材構成で施工が簡単であるという特徴があります。
枠組足場の部材は軽量で、強い強度があるため、
多くの高層建築の建設や外壁工事で使用されています。
【枠組足場のメリット】
・耐久性に優れ強度が強い足場
枠組足場は高層建築など大規模な建築物で使用されることが前提の足場です。
そのため、強度の高い資材で作られています。
溶接された補剛材が門型の建枠にあらかじめ取りつけられていたり、
すべての足場に筋交いを設置する効果もあり、座屈に対する抵抗力が大きく、
部材の強度の信頼性が高いという特徴があります。
これにより、枠組足場は14階建て～15階建てに相当する地上45ｍまでの建物で構成できます。
構成する際は1つずつ資材を組立てていくのではなく、
いくつか組立てられた状態の足場をクレーンを使って組立てて繋げていきます。
・部材の種類が多い
枠組足場はくさび緊結式足場よりも歴史が古く、単管足場よりも安全性が評価されている為、
枠組足場の構成で必要な部材がどんどん登場していき、
現在ではくさび緊結式足場や単管足場よりもよく使用されています。
関連する部材が多いため、応用も効きやすく、建物に合った仮設足場を構成することが可能です。
また、しっかりとした作業床を組立てることができる足場のため、
建築・塗装作業そのものも細部にまでこだわった仕事が可能になります。
・組立てが簡単
枠組足場は組立てが簡単な点も大きなメリットです。
組立て方に共通している部分も多いので
経験がある作業員であれば比較的簡単に組むことができます。
・組立て時の騒音が少ない
枠組足場は組立て時にハンマーによる打ち込みではなく、
ボルトや番線を使って組立てをするため、
ハンマー打ち込みが必要な足場に比べて騒音を抑えられるという利点があります。
【枠組足場のデメリット】
・複雑な形状の建物や狭小地には適さない
枠組足場は組立ての際にクレーンを使うため、作業するスペースが必要になります。
また、枠組足場そのものは複雑な建造物に対しての部材は揃っていますが、
組立てに時間がかかるという点でコストパフォーンスがよくありません。
そのため、低層で複雑な形状をした建物に足場を構成する場合は
単管足場もしくはくさび緊結式足場を採用するのがおすすめです。
・部材の種類が多いため扱うのに知識が必要
枠組足場は門型をしている建枠だけで50種類以上もあります。
建枠の形も多岐に渡りますが、サイズもメーター表記とインチ表記の2種類があり、
他の基本部材もサイズ別に揃っています。
多くのメーカーから枠組足場を発売されているため、
互換性がないためのミスマッチが起こる場合があります。
・コストが高い
部材が多いために全体のコストが高くなる傾向があります。
さらに部材の搬入のためにトラックもある程度の大きさの車が必要になります。
そのため、トラックが入れない場所では枠組足場を組めないこともあります。
【枠組足場で使う部材】
それでは、枠組足場で使う基本的な部材をご紹介します。
色々な部材があり、さらにサイズも様々ですので、互換性が無い場合もあり注意が必要ですが、
基本的な部材として覚えておいていただければと思います。
・鉄ジャッキ
鉄ジャッキは、ジャッキベースという物もあり、
足場の一番下に使用する部材で、いわば足になる部分です。
ハンドルを回して高さを自由に調節することができ、建枠の高さを微調整して揃えます。
1つの建枠につき、2つのジャッキを使います。
・建枠
建枠は足場の構造の中で柱材になる門型の部材です。
鉄ジャッキに挿して、片方に2個の鉄ジャッキと建枠を組立てて、筋交いと踏板を取り付けます。
・鋼製布板
鋼製布板はフックが付いているメッシュではない布板のことで「アンチ」とも言われています。
2つの建枠の上部に鋼製布板のフックを引っ掛け、金具でロックします。
・筋交
筋交は建枠に斜めに掛けて足場の構造を補強する部材で「ブレス」とも呼ばれます。
2つの建枠の間に片方ずつ斜めに掛けます。
建枠の左右に筋交いを付ける必要があるため、建枠2本ごとに筋交いが4本要ります。
・ジョイント、ピン
ジョイント、ピンとは上と下の建枠を繋げる部材です。
種類は主にヤマトピン、連結ピン、オートピンの3種類です。
下の建枠に先にピンを挿しておき、その上にジョイントにはめ込むように建枠を挿していきます。
そうすることで足場を上に組立てることができます。
【枠組足場の組立ての手順】
枠組足場にはいくつか種類がありますので
代表的なものとして「手すり枠先行型」の足場の組立て手順をご紹介します。
・手すり枠先行型
手すり枠先行型は手すり枠を下層から設置することで、常に手すり枠内での作業が可能です。
1.ベースの組立て
足場を設置する地盤に不等沈下が生じないように措置を施し、平坦な位置に敷板を並べます。
ジャッキベースを敷板の上に置き、高さを合せます。
2.1層目建枠の組立て
建枠の脚注をジャッキベースに差し込み、隣接する建枠の間に筋交いを取り付けます。
下部の補助手すり枠を外側に取り付けます。
ジャッキベースを調節して全体のレベルを合せます。
根がらみを取り付け、ジャッキベースを釘留めします。
3.1層目から2層目の手すり枠を取り付け、布板を取り付ける
4.1層目から2層目の妻側の手すり枠を取り付ける
5.2層目の組立て
ジョイントで建枠を継ぎ足します。
6.手順3の手すり枠に固定し、筋交いを取り付けます。
妻側手すり枠を取り付けます。
これの繰り返しです。
最上部は補助手すり枠の設置をし、妻側手すりの設置をするという手順で組立てます。
【枠組足場は種類が多く強度の高い足場】
枠組足場についてご紹介しました。
枠組足場は同じ門型をしていますが、サイズや種類が多く、
さらにそれぞれに部材がありますので、部材も含めると多岐に渡ります。
互換性のないものもありますので、
使用する際にはメーカーの一覧表などをチェックして間違いのない部材を選ぶことが大切です。
足場はどれが一番良いという訳ではなく、
設置する場所や建物に最も合ったものを設置する必要があります。
とはいえ、選択肢も多く、最も適切な足場を選択するのは経験がないと難しいのが現実です。
足場組立や解体を専門としている業者であれば、
経験も豊富で安全性に優れた足場を設置することが可能です。
建築現場に欠かせない足場の設置は足場を専門としている会社に依頼するのがおすすめです。